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レッスン要約
今回のレッスンは、冒頭でさは観劇した舞台「我ら宇宙のチリ」や、視聴中のドラマ「ロイヤルファミリー」の感想から始まりました。まつや氏は、自身の疲労蓄積による体調の変化や、仕事量の増加に伴い、来春を目処に現在のレッスンスタジオを閉鎖し、今後はワークショップ形式への移行を検討していることを共有しました。
レッスンの前半では、言語と文化の深い考察が行われました。日本語は口先で発音する特性があり、言葉の重心が前になりやすい点や、日本特有の「ハイコンテクスト(察し合う)」文化について議論されました。しかし現代では、スマホの普及により個人の情報摂取がパーソナル化し、共通認識が薄れているため、以前ほど「言わなくても伝わる」ことが通用しなくなっているという分析がなされました。また、台本という「最低限の情報(圧縮データ)」から、本来そこにあるはずの感覚や重みを「復元」する作業が役者には必要であり、そのためには文字から色や身体感覚を感じ取るような共感覚的アプローチが有効であると語られました。
中盤では、役作りにおける「骨格」と「肉付け」の違いについて指導が行われました。まつや氏は、役の履歴書(好きな食べ物など)を細かく埋めることよりも、その役が物事をどう捉えるかという「価値観(コア)」こそが骨格であると強調しました。出来事そのものよりも、その出来事に対して役が何を感じ、どう価値判断を下すかを把握することで、未経験の状況でも役として反応できるようになります。また、生徒のさや氏が実践しているシャドウイングや単語連想といった客観的アプローチを、いかに主観的な立体感へ落とし込むかが課題とされました。
後半の実践指導では、「オンタイム(リアルタイム)」での感情処理が焦点となりました。セリフを言い終わってから感情が追いつく「時差」をなくし、喋りながら同時に痛みや葛藤を感じる「マルチタスク」な状態を目指すべきだと助言されました。過去にうまくいった演技をなぞるのではなく、その瞬間に湧き上がる感情を大切にすることで、毎回新鮮で成立する演技になると説かれました。最後に、スタジオの改装計画や、制作体制強化のための人材育成、資金繰りの見通しなど、ビジネス面での現状報告が行われ、レッスンは終了しました。
レッスンの主要トピックと解説
- スタジオ運営と今後の方針仕事量の増加と制作負荷のため、現在のレッスンスタジオを来春に閉鎖し、ワークショップ形式へ移行する計画が発表されました。また、スタジオを2部屋に分割して収録効率を上げるための改装工事や、制作スタッフの育成についても言及されました。
- 日本語の特性とハイコンテクスト文化の変化日本語は口先で喋るため重心が前に行きやすいという身体的特徴と、文化的な「察し」の構造について。現代は情報が細分化され共通認識が取りづらくなっているため、言わなくても伝わる文化が薄れ、欧米的な説明責任に近いコミュニケーションが必要になりつつあると分析されました。
- 台本の「復元」と共感覚的アプローチ文字情報は「圧縮されたデータ」に過ぎないため、役者はそこから本来の感覚や情景を「復元」する必要があります。文字に色や重みを感じるような感覚(共感覚)や、自身の経験という鍵を使って、平面的なテキストを立体的な体験に戻すプロセスが語られました。
- 役作りの「骨格」とは役作りにおいて重要なのは、細かい設定(肉付け)よりも、その役が世界をどう捉えているかという「価値観(骨格)」です。出来事そのものではなく、その出来事に対する役の「感じ方」や「基準」を理解することで、役の核がブレなくなります。
- 「オンタイム」での感情処理と脱・なぞりセリフを言った後に感情が来るのではなく、喋りながら同時に感じる(時差をなくす)ことの重要性。また、過去の良い演技を再現(トレース)しようとするのではなく、その瞬間に感じるものを優先することで、生きた演技が生まれると指導されました。
