
お気に入りに追加僕のレッスンでは、よく考えさせたり、答えさせたりします。
- やってみてどうだった?
- さっきと何を意識的に変えてみたの?
- この時どんな感情なの?
などなど、いろんな角度で質問を投げかけます。
演技において「自分で考えて答えを出す」ということが大切なので、一方的にダメ出しだけをすることは少ないです。
理由はシンプルで、「現場に出るときには、講師は近くにいない」からです。
養成所や専門学校でレッスンを受けている方も、自分で考えて、自分で答えを出すということは、常に心に留めておいてほしいです。
可能ならいろんな演出に対応できるようにいくつかパターンを考えるくらいまで、一人でできるようにしましょう。
そうでなければ、あなたはプロとして現場に出ることはほぼないと思ってください。
現場は「仕事」をするところであって、「指示に従う」場所ではありません。
さて、そうやって考えさせていく中で、いつも引っかかるポイントがあります。
国語教育の弊害だなと思うのですが、今回のメインテーマは「状況説明ができるからといってで感情を理解したと思わないこと」です。
感情を言葉にすることの大切さ
まず、最初にお伝えしたいのは「言葉にすることの大切さ」です。
言語化は、再現性を高めるためにも理解を深めるためにも、感情をコントロールするためにも重要です。
日常的に癇癪を起こしやすい人(子供も含む)は、自分が今どんな感情を感じているか、何をしたいか、どうしたかったかなどの「言語化」が不十分であるといわれています。
逆に言えば、日常から感情をコントロールするには「言語化」が効果的なのです。
演じるときにも同様で、その感情がどんなものかを言語化することで、演じる時の一つの拠り所や方向性になります。
言葉にすることで何をすべきかが自覚でき、感性に任せたあやふやな表現ではなく、何が必要かが明確になります。
そのためには「今、どんな感情なのか」をきちんと理解すること、それを言語化していくことが重要です。
言語化する際の注意点
レッスンの中で「その時はどんな感情なの?」と質問すると、半数がまず黙ります。
感情を感覚的にしか捉えていないために、言葉にできないのです。
そういうタイプの人は、まずは感情を少しずつ理解できるようにしていきましょう。
感情について考えるなんてことは、演技をしたり人間分析が趣味みたいな人でない限り、一般的にはほとんどすることがないでしょうから、最初はできなくて当たり前なのです。
「状況説明」と「感情の言語化」を同一視しないこと
言語化のわかりやすいステップを説明する前に、今回の本題はここです。
状況を説明すれば、感情が言語化できると思っている人が、一定数います。
もちろん、台本に書かれていることを状況として理解できることは素晴らしいことです。
ですが、それに「〜という気持ちです」と、つけたら「感情の説明になる」わけではありません。
- なんとかして試験に合格したいという気持ち
- 大好きなあの子が僕に振り向いて欲しいという気持ち
- 両親の喧嘩が絶えなくて、もう耐えられないという気持ち
- お父さんが突然いなくなって迷子になってしまったときの気持ち
もっと長々と状況を説明することもできますが、シンプルにまとめるとこういう言い回しは「状況説明」であって「感情の言語化」ではありません。
感情という言葉を辞書で引くと「ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのこと」とあります。
だからなのか、「気持ち」という言葉をつければ、感情の説明になると思っているのかもしれません。
ちなみに、僕は国語の「この時の主人公の気持ちは?」という設問が大の苦手で、「〜の気持ちって書いとけばなんとかなるだろう!」って感じでした。
レッスンをしていて、生徒の答えを聞いていると、似たような感覚なのかなと思ってます笑
感情理解を相手に委ねない
ですが、僕が国語のテストで回答したようなものは気持ちでもなんでもなく、ただ書いてあることをそのまま転記してるだけにすぎません。
必要なことは、そこから「何を感じているのか」を汲み取ることです。
状況説明をして「〜という気持ち」とつけてしまうと、何を感じているかを汲み取ることを「相手に委ねる」ということになります。
何を感じていて、そこにどんな感情があるのかを理解していなければ、「的確に表現する」ということは困難です。
自分で演じる役の状況を理解できるのであれば、そこから一歩進んで「そこにある感情」についてもしっかりと理解しましょう。
感情の言語化が再現性の入り口
感情をしっかりと理解して言語化できることが、「安定した演技」ができるかどうかの鍵です。
声優の演技は「同じものを何度も求められる」という特殊なお仕事です。
感覚に頼って、自分でどんな感情なのかを理解できないのであれば、「同じものを二度とできない」という可能性もあるのです。
それでは仕事になりませんし、それで現場で下手をこいたら、もうその現場には呼ばれないでしょう。
技術を身につけるには、「繰り返し努力する」という方法と、「それについて理解する」という知識の部分とが、両方必要になります。
感情については、コラムではなくテキストでまとめますので、ぜひ今後の感情表現と感情理解の参考にしてください。





