
お気に入りに追加声優志望も含めて「声」で仕事をしようと思ったら
ボイスサンプルはしっかりと作らなくてはなりません。
キャスティングする側、オーディションで選考する側からしてみると
ボイスサンプルひとつで、その人のことを判断するわけです。
適当なものを渡されたら「その程度の人」と思われて
それで終わりなんです。
今回は声優の営業活動において、なくてはならない
「ボイスサンプル」についてお話ししていきます。
もともと5回分の記事と再編集して
一つの記事にまとめましたので、相当長いです。
ボイスサンプルってなに?
まず大前提の質問なのですが、
ボイスサンプルを作ったことがある方は
どれくらいいるでしょうか?
まだ一つも作ったことがないという方はいますぐ作ってください。
作ってみないとわからないことがたくさんあります。
それを実際に使うのかどうか、ということも大切ですが、
作ってみることで自分の実力は明確にわかります。
そもそもボイスサンプルって何?という方は、
自分の気になる声優さんの
「名前+ボイスサンプル」で検索してみてください。
事務所のWebサイトなどで公開されているものがあれば聞けると思います。
ボイスサンプルはあなたの声の名刺です。
私はこんな声質です、こんな演技ができます、
ということを手っ取り早く理解してもらうために使います。
つまり、ボイスサンプルをしっかりと作れていないと
仕事をするのは困難ということです。
しっかりと作れているというのにもさまざまな基準がありますので、
このコラムの中でいくつか書いていきますので、
頭に入れておいてください。
ボイスサンプルは常に最新のものを
ボイスサンプルはなるべく最新状態のあなたを反映させておくべきです。
一年に一回更新では
「あなたは仕事を取る気がない」と
判断されてもおかしくありません。
事務所に所属しているのであれば、
担当のマネージャーに定期的にサンプルを提出するのも、
社内営業としては必要な行動です。
少なくとも三ヶ月に一回は更新しておくべきです。
これは現場のディレクターから直接聞いた意見でもあります。
そして、今自分にできるものを
しっかりと詰め込むべきです。
しっかりと声優活動に取り組んでいる人は、
3ヶ月もあれば見違えるように変化しています。
つまり、ボイスサンプルの更新をしないと、
「あなたはずっと下手くそな自分のまま売り込んでいる」ということです。
本当のあなた自身は上手くなっているのに、
相手の聞くサンプルはど下手くそ。
それで仕事に繋がると思いますか?
しっかりと作るものは作るという意識でいないと
絶対にチャンスを逃します。
やるべきことをやらないまま仕事がないと嘆くなら、
まずは、やるべきことをやりましょう。
僕は声優として一線で活躍しようとはもう思っていないので、
もう年単位でサンプルを更新していませんが、
それでも声のお仕事で月数万ほどは売上が上がっています。
それはサンプルではなく、今までの信頼とご縁のおかげですが、
それでもやはり仕事を決めるきっかけはサンプルなのです。
僕でさえ、案件によっては
必要に応じて都度サンプルを収録をしています。
声優として生活していきたいと思っているなら、
なおさら意識すべきことではないでしょうか?
ボイスサンプルの音質について
個人で作るボイスサンプルに関しては、
あまり音質に拘らないという方も多いのではないでしょうか?
しかし、こちら側からみたら
「音質」はめちゃくちゃ大事な要素なのです。
通常のキャスティング選考だけでなく、
オーディションでも同様のことが言えるでしょう。
それはつまり、仕事をするというタイミングだけでなく、
これから所属オーディションを控えている人も含めて、
全員に当てはまることです。
オーディションに応募する際、
多くの人が宣材写真を専門のカメラマンに撮ってもらうでしょう。
安いところでは数千円からありますし、
メイクや衣装替えまで対応してくれるところでは
一回の撮影で数万円かかるところもあります。
プロフィールの写真にこだわるのももちろん大切ですが、
オーディションのサンプルの音質にまで拘ったことはありますか?
なんとなく、スマホのボイスメモで
済ませてはいませんか?
もちろん、今高校生や中学生で機材を持っていないとか、
スタジオに依頼するお金がないとかいろいろ事情はあるかもしれません。
しかし、社会人で働きながら目指している人も少なからずいるでしょう。
そういった方も同じように
提出用サンプルをスマホで録音しているなら要注意です。
オーディション用の音源提出について
例えば、81は毎年夏に公募オーディションをしていますが、
そこには何百という人が応募しています。
つまり審査員はその何百というサンプルを聞いて、
審査しているわけです。
その中でノイズ混じりの音質の悪い音源が来た時に。
印象は、良いでしょうか?それとも悪いでしょうか?
もし、同じレベルのオーディション参加者がいて、
クリアな音声のサンプルを送ってくる人と、
スマホで録ったノイズ混じりのサンプルを送ってくる人と、
どちらが合格すると思いますか?
答えはシンプルですよね?
声優が最近はアイドル化しているので
見た目が重視されているのは否めませんが、
それでも僕らは「声の職人」であり声を商品にしているのです。
その声を綺麗に聞かせられないということは、
ピンボケした写真を使うカメラマンと同じです。
ノイズ混じりの音源を使うということは、
汚れたお皿に適当に盛りつけた料理を提供する料理人と同じです。
さて、それで仕事につながりますか?
オーディションだからいいじゃんと思うかもしれません。
ですが、オーディションだからと思っている限り、
しっかり取り組んでいる人には絶対に勝てないのです。
オーディションでもしっかりと取り組む人が
しっかりと結果を残していきます。
それを忘れないでください。
サンプルのクレジット(名乗り)
クレジットとは、1番初めの名前を名乗るところを言います。
多くのボイスサンプルはこのクレジットから始まります。
僕はセリフやナレーションはこだわるけれど、
このクレジットをおろそかにする人がたくさんいることに驚きます。
クレジットとは、
あなたの声を見極めるための最初の声
なのです。
多くの場合、最初にクレジットを入れます。
そしてクレジットはキャラクターや声を作らない、
あなた自身の地声です。
それは、あなたの本当の声を聞かれているということなのです。
どんなに可愛い声で演じても、
どんなにカッコいい声で演じても、
クレジットで「おっ?」と思わせることができなければ、
残りのサンプルは聞いてもらえません。
自分の名前を名乗っているのに滑舌が悪いとか、
名乗っている声が暗いとか、
クレジットを「作った声」で喋るとか、
それではダメなのです。
最低限、あなたの地声で聞き取りやすく、
明るくハキハキとクレジットを録りましょう。
あなたの地声を聞かせるということは
普段どれくらい声をしっかり意識しているか、
鍛えているかというものが如実に出ます。
演技の幅や声質を見るだけでなく、
鍛えられた魅力的な声のかを判断する材料でもあります。
クレジットはあなたの声の第一印象です。
その第一印象が最悪だった場合、
あなたが選ばれることはないでしょう。
あなたがどんなに工夫してセリフを読んでも、
素晴らしいナレーションを披露したとしても、
クレジット一つで水の泡なのです。
第一声であるクレジットを大切にして、
きちんと聞いてもらえるサンプルにしましょう。
1本目の音源は?
ボイスサンプルを作る時に多くの人は
「セリフ2つとナレーション2つ」みたいな形で
1本の音源にして提出することが多いです。
では、あなたがサンプルを作るときに
どのように音源をどのように決めていきますか?
セリフが一番はじめですか?
ナレーションですか?
その選択基準は、何を基にしていますか?
もちろん、オーディション音源のように指定されているものもあります。
その場合には指定のとおりという「基準」でいいのですが、
そうでない場合には、オーディション音源の基準では問題があります。
1つ目の音源は
「あなたが最高のパフォーマンスを発揮している音源」にしましょう。
基本的に「クレジット→1本目のサンプル」という流れになりますが、
人によっては「クレジット以外聞かない」ということもあります。
クレジットすらしっかり録れていないサンプルには
聞く価値はないと判断する人もいます。
さらに言えば、1本目の音源ですら「全部再生はされない」と思った方がいいです。
あなたが4本の音源をサンプルにまとめたとしても、
1本目の途中まで、下手をしたらクレジットまでしか聞かれない、
それが現実です。
これは他の案件の選考の時も同じ理屈になります。
サンプル音源の順番
ナレーションの案件で候補出しをするとしましょう。
もしあなたが、セリフ2個、ナレーション2個を
一本化したサンプルしかない場合、
選考にサンプルを送っても選ばれる可能性は低いです。
要するに「クレジット→セリフ2本→ナレーション2本」という
サンプルの構成では、そもそも論外だということです。
クレジットを聞いた後に1本目のサンプルがセリフだとしたら、
おそらくその場で選考から外れるでしょう。
求めているのはナレーションなのですから当然です。
サンプルにナレーションが入ってるから
全部聞いてくれるだろうとは思わないこと。
選考するのにそんなに時間はありません。
その場合には、必要なナレーションを必要な順番に並び替えて、
一本化するべきなのです。
それでも、クレジットと1本目しか聞かれない可能性が高いです。
1本目の音源の大切さと、
前回話したクレジットの大切さを考えて、
ボイスサンプルを作るようにしてください。
ボイスサンプルの方向性
ボイスサンプルというと声優志望の多くが
「セリフ」と「ナレーション」を
2つずつ盛り込んだものを用意します。
なぜだかわかりませんが、
それが「正解」とされているかのようです。
しかし、ここで一つ考えてみましょう。
なぜ、セリフ2つとナレーション2つなのでしょうか?
最初に思いつく真っ当な理由でいえば、
サンプルの基準が2分前後の音源とされていることが多いため、
各30秒と考えると2つずつ入れるのが望ましいと考えるから、
というのがあります。
実際5分という長いものを作ったとしても、
最後までほとんど聞きません。
また、「養成所などで作るサンプルがそうであるから」
という過去の経験に基づくものもあるでしょう。
養成所やオーディションで求められる「サンプル」は
多くが「セリフ2つ、ナレーション2つ」という形式を採用しています。
どんなサンプルを用意すべき?
さて、ここで問題です。
あなたはどのようなサンプルを用意すべきなのでしょうか?
正解は「必要とされているサンプル」です。
前項でも話しましたが、
多くの人がクレジット→セリフ1→セリフ2
→ナレーション1→ナレーション2という流れで作ります。
なぜか、サンプルとはそういうものであると思っている人が非常に多いからです。
もし、そのサンプルをナレーションの候補出しで提出したら、
あなたはきっと「サンプルでナレーションの仕事」は取れないでしょう。
あなたのサンプルをナレーションまで聞く人は少ないからです。
優しい選考であれば、セリフを飛ばして
ナレーションを聞いてくれる人もいるかもしれませんが、
ごく稀でしょう。
もし、キャラクターの候補出しがあるのであれば、
セリフのみで4つほどのサンプルを用意すべきです。
それも、求められているキャラクター性を中心に集めるべきです。
もし、ナレーションの候補出しでサンプルを求められているならば、
ナレーションを4つほどまとめたサンプルを作るべきです。
候補となっているタイプのナレーションを中心としてまとめてください。
つまり、セリフ2つ、ナレーション2つのサンプルなど、
使うことはほぼないということです。
案件によってサンプルの内容を変更して、
先方に選んでもらいやすいように提示する。
それがサンプルを作る上で
とても重要なことです。
それは要するに、合わせたサンプルが作れるように
セリフにしろ、ナレーションにしろ、
数を録っておくということが重要だということです。
サンプルの原稿について
最後に、ボイスサンプルの原稿について
少し述べておきたいと思います。
多くの人が、インターネットのサンプル原稿を
そのまま使用してボイスサンプルを録ります。
僕はこれに対してすごく「もったいない」と
感じているのです。
ネットで公開されている原稿が
「あなたに合った原稿とは限らない」からです。
原稿からサンプル作りは始まる
例えば、あなたが苦手な言い回しがあるとします。
なんとかそれをそのままサンプルにしましたが、
「滑舌が甘い」サンプルに仕上がります。
他にも、あなたが演じたいキャラクター像があるとします。
こういうキャラのサンプルが欲しいと思って原稿を探しますが、
なかなか合った原稿が見つかりません。
仕方なく、ネットのサンプル原稿を
そういうキャラに寄せて仕上げましたが
「セリフとキャラに違和感のある」サンプルが仕上がります。
さて、それを聞いてもらって、
そのサンプルは「仕事に繋がる」のでしょうか?
僕は難しいのではないかと思うのです。
オリジナルの原稿を作るメリット
僕は営業用のサンプルを作るのであれば、
オリジナルの原稿にするべきだと思っています。
理由は2つです。
- 自分に合った原稿が作れる
- 不要な競争から抜けられる
1は先ほど述べたように、
苦手な言い回しやキャラクターを
弾くことができ、自分にカスタマイズできるということです。
もう一方の「不要な競争」というのは、
「相手も同じ原稿で出してくる場合がある」という点です。
そうすると「その原稿の読みの優劣」で決まるのです。
もちろん、上手い下手の問題はあるにはありますが、
同じ案件で同じ原稿で出された場合、
それが如実に出てしまうことになりかねません。
それは、選考される上で「不要な競争」だと
僕は思うのです。
読みのうまさはもちろん大事ですが、
そうではない「あなたらしさ」や
「あなたに頼む意味」を打ち出す方が、
仕事をしていく上で大切だと考えています。
そのためには、オリジナルの原稿を使う
ということが、一つの道なのだと思うのです。
ながながと書き連ねておきましたが、
サンプル作りの参考にしていただければ。





